ナスカの地上絵に関する新しい見方の一つ

(2000/12)ScienceDaily Magazine(U.S.A)より


 マサチューセッツ大学の考古学チーム(B.Mabee、D.Proulxら)は、「不可解なラインのうちの幾つかは実際に地下水脈を指し示しているものだ」と発表した。
 ハチドリ、猿、人、鳥、哺乳動物、螺旋、三角形、他の幾何学的な図を描写しているNascaラインは約1,500-2,000年前にインカ人の侵入に先立つNasca文化によって南西ペルーの砂漠に構築された。これらが意味するものについての考察は世紀の課題であり、何人かの専門家たちは、図形が儀式あるいは宗教的な機能を持つ天文学カレンダーとして役立っていた、と仮定した。
 しかし、今回の調査は、少なくとも、幾何学的な形のうちのいくつかが地下水の流れをマークしているという結論を導いた。「我々は最新の調査方法を導入しており、地表のNascaラインと地下水の一致は、幾何学ラインのうちの幾つかの機能についての極めて興味深い新提案となった。」 とMabeeは言う。
 数十年間にわたり地上絵を研究してきたProulxは、ビオモルフ(動物、プラントおよび人間の図)およびNasca陶磁器上のシンボルがほとんど同一であることに注目している。
 「ここまでの調査では、地下水脈がその地方の住民に確実な水供給の手段だったことを示している。利用可能な地上の河川と比較しても、地下水はマグネシウムやカルシウムを多量に含み、pH、レベルとも優れた水質だ。」とMabeeは言う。
 また、Proulxは、地質学の研究と並行して、排水エリアの120ヶ所を越えるサイトについて考古学的調査を実行し、そこでの彼の発見は別の考古学上の難問にも解決の糸口を提供するかも知れない。すなわち、河川や泉などの水源から遠く、水の確保が困難に思われる場所にも数多くの遺跡が構築されたのは何故か?という考古学上の難問。これについても、当時の人々はすでに地下水脈を的確に捜し当てて利用していたからだ、とProulxは言う。
 チームは幾何学ラインに沿った地下から現在でも実際に取水が可能なことを再現して証明し、その様子を撮影することにも成功した。ナスカの少なくとも5つの幾何学ラインは帯水層と一致し、「幾何学ラインの下には常に地下の帯水層が存在し、両者は不可分な関係のように見える。」とMabeeは言う。
 チームは過去5年間にわたって、最新の地上絵の図面作成と地下水のサンプルを採取し研究してきたが、その研究資金提供は米国地理学協会およびジョンハインツ慈善信託からのもの。


※ 私(K)が日本語に翻訳したので、誤訳や意味不明の部分があるかも知れません。
 なお、人や動物など、幾何学ライン以外の文様は地下水脈との関連性は薄いと思われる。「古代の飛行機や宇宙船の滑走路だった」という珍説もあるナスカ幾何学ラインの大変有力な新しい見方のひとつと言えるのではないだろうか。