エル・カズネを後に、今度はアウター・シクと呼ばれる谷間の道を進むとローマ劇場が見えて来るが、もう劇場にはいい加減飽きていたので素通りする。左手の岩山に蜂の巣のように穿たれた洞窟が見えるこの場所は犠牲祭壇のふもと辺り。
　犠牲祭壇は神に生贄をささげる儀式を執り行ったところ。
　
　

　
　岩山におびただしい数の穴居が造られていて、これがナバタイ人庶民の住居だという。それほど広くはないが、外の暑さに比べてとても涼しい。
　穴居なんてとても原始的で石器時代の住居かと思っていたのに、こういう砂漠地帯では非常に合理的で他のどんな構造物よりも快適に過ごせる住まいだったようだ。
　穴居の一つを利用して岩窟博物館も設けられている。博物館とは名ばかりで、まあ、個人が趣味で集めた僅かなコレクションを陳列してみました、という程度の代物。これとは別にレストハウスにも出土品の展示室があり、そちらのほうがまだマシ。