次はシラーズが生んだもう一人の天才詩人ハーフェズのお墓。
詩人の墓参りのハシゴなんて、こんな機会でもなけりゃ絶対にすることないだろうなと思いつつ足を運ぶ。
ハーフェズはサアディーより百年ほど後の時代、14世紀に活躍した詩人でサアディーとはまったく逆に一生涯をシラーズで過ごした。おそらくペルシア古典詩人で最も有名で親しまれている詩人だという。彼の詩は神秘主義的要素が強く、比喩や寓話を多用している(らしい)。
とにかく現在でもイランで最も愛され尊敬されている詩人なので、女の子を口説く時にはハーフェズの詩を口ずさめば成功する確率が高いと現地のガイド氏が言っていた。古典詩で口説くなんて、日本のどうしようもない若い世代なんかより遥かに教養度が高い。
もともとアラブ民族は詩や詩人を大切に扱う伝統がある。イスラム以前の古代国家においても、あるいはイスラム以後も、部族間の抗争や戦闘は武力や暴力による勝敗のみならず、その戦いの様子を詠った詩の優劣で戦闘自体の勝敗を決したこともあった。だから諸王や豪族たちは優秀な詩人を競って召抱えたと言われる。なんとも優雅というかノンビリというか…。
|